みなさん、こんにちは。セネきちです!
今回は手乗りの鳥を飼っている人からよく聞かれる質問にお答えしていこうと思います!
かわいい手乗りの鳥を飼っている方は部屋に放して一緒に遊びますよね。
楽しい時間を過ごす半面、飼い主さんからよく受ける悩みがあります。
部屋の中を鳥が飛び回っちゃって困っています。
外に逃がしてしまいそうだし、どうすればいいですか?
もちろん鳥は飛ぶのが当たり前ですが、飼い主の手が届かないくらいに飛び回ると危険や心配がいっぱいなのです。
今回は、そんな「飛ぶ」ことに関する悩みを解決していきましょう。
なぜ飛んでしまうのがダメなのか?
鳥は飛ぶもの。
それがなぜダメなのか?
まずは飼育している鳥が飛ぶことに関するリスクを知りましょう。
好きな場所を好きなだけ飛び回らせているとこのようなトラブルが起きます。
・自分がしっかり戸締りを確認して部屋に鳥を放していたのに、予想外のタイミングで家族が帰ってきて扉を開けてしまい、逃げてしまった。
・ケージに戻す、病院に連れて行くためにキャリーケースに入れる時など鳥の嫌がることをしなければならない時に飛び回って捕まえられなかった。
・何らかの原因でパニックを起こした際に無茶苦茶に飛び回り、あちこちぶつかってしまった。
・放鳥していた部屋を飛び出てキッチンに行ってしまい、危うく調理中の鍋に飛び込むところだった。
・逃げた時に大空高くかなり遠くに飛んで行ってしまい、見つけることができなかった。
どうでしょうか。
読むだけでぞっとするような話ばかりですね。
特に一番最初の、自分がしっかり戸締りをしていても、たまたま家族が戸を開けて逃げた、
という話はとてもよく聞きます。
部屋の中での危険については、また別の記事で説明させていただきますが、今回最も気にしたいのは、「外へ出て行ってしまう」という点です。
飼育されている鳥というのは逃げてしまえば、まず見つかりません。
外には天敵がいっぱいで、餌も上手く見つからないでしょうし、温度の変化も大きいです。
逃げる=もう戻らない と思っていただいたほうが良いです。
(ちなみに逃げられた方が口を揃えて言うのは、「絶対大丈夫だと思っていた」です!)
「クリッピング」というのは、こういった、「外へ出て二度と会えなくなってしまう」という悲しい出来事から、飼っている鳥を守るための最後の砦のようなものなんです。
※最初にお話しておきますが、この記事はクリッピングを推奨するものではありません。
最後まで読んでいただいて、飼い主さん自身が判断してもらうための内容となっております。
「クリッピング」とは
さて、飛び回るのが逃げることやケガにつながる、というのはよくお分かりいただけたと思うのですが、これを解決するのに使われるのが「クリッピング」という手法です。
クリッピングとは簡単に言えば羽を切ること、です。
ええっ!!!かわいそう!!痛そう!!鳥から羽を奪うなんて!!
血も出るだろうし、動物虐待!!
・・・なんて思われる方がほとんどですよね。
私も最初羽を切る行為に抵抗がありましたので気持ちはよく分かります。
でも大丈夫です。
そんな方にこそ、最後まで読んでもらいたいのです。
読み終わる頃にはクリッピングは虐待でもなんでもないことが分かると思いますよ!
まずは一番心配な「羽を切ること」の悪いイメージをひとつずつ解決していきましょう。
クリッピングに対するよくある質問
クリッピングは、実はかなり賛否両論分かれるものです。
というか否定が圧倒的に多いですし、私もよく否定的な意見を向けられたものです。
でも100害あって1利無し、というものでは決してありません。
ここからは、クリッピングに関するよくある質問に答えていきますね。
羽を切るなんて血が出るし痛いじゃん!
羽を切る=鳥の体を切る、みたいに思われがちで、よく勘違いされますが…
痛くはないし、血も出ません
クリッピングは、切っても良い羽しか切りません。
人間でいうならば、爪切りみたいなものです。当然、痛みもありません。
飛べなくなるなんてかわいそう!虐待!
いえいえ。飛べなくなるのは切ったばかりの時だけです。
正直、羽を切っても鳥は飛びます。高く上昇できなくなるだけです。
あとは、元々歩くのが好きで、ほとんど飛ばないコもいますよ。
ビュンビュン飛んでいたコが急に飛べなくなると、確かに戸惑いますが、一番可愛そうなのは、ロスト(外に逃がしてしまうこと)です。
クリッピングを定期的にやっていれば、玄関から出てしまっても一瞬で見失うほどは飛びませんので、よほど状況が悪くない限り、捕まえることができます。
何が虐待になるかは、飼い主さんが判断しましょう。
もし、一切クリッピングをしないならば、全力で飛ぶ鳥を絶対に外に逃がさない飼育環境をきちんとつくりましょう。
外に逃がしてしまったらお終いです
一度切ったらもうそのまま?
それも違います。
鳥は生後半年で一度羽が生え替わり、その後は1年に1度全て生え替わります。
換羽(とや)といいます。
少しずつ生え替わるコもいれば、バサッと生え替わるコもいますよ
ちなみに、この換羽の頃が、クリッピングをした鳥が最も逃げやすい時期ですので、「鳥の羽は生え替わる」ということを忘れないでくださいね。
続いて、一応羽を切ることのデメリットもご説明いたしますね。
クリッピングのデメリットは?
まず、羽を切ることの最大のメリットは、「飛び去って逃げてしまう」ことがなくなるということですね。
捕まえたい時に捕まえることができるので無駄に追いかけて怖がらせることもありません。
ではいいことばかりなのか?というと、違います。
デメリットもあります。
順に説明させていただきますね。
①見た目がかっこ悪くなる
シュッと伸びた長い風切り羽、羽繕いをしている時に扇のように広がる美しい翼。
・・・一部であっても羽をカットしてしまえばその完璧な美しさは少なくなってしまいます。
見た目にこだわらない人ならいいのですが、ちょっと気になるとは思います。
②切るのがちょっと難しい
羽をカットしてくれるペットショップや病院が近くになければ自分で切ることになるのですが、慣れないうちは一人では難しいです。
爪切りと違って失敗した時の出血量も多いです。
まずは鳥の体を安全に保定するやり方からマスターする必要があるため、飼い主さんがやり方を学ぶ以外にも、鳥にもヒナのうちから体を触られることに抵抗を持たないようにしなければなりません。
暴れた状態で無理やり抑え込んでカットするのは大変危険な上、鳥に「手は怖いもの!」という感覚を覚えさせてしまうのでやめましょう。
③最初は鳥が戸惑うのでストレスになる
だいたいの場合、飛び始めてから羽をカットしよう!となるため、初めは鳥も戸惑います。
スイスイ飛べていたのにいきなり飛びにくくなるわけですから。
ストレスも感じるでしょう。
なので、クリッピングをするなら、飛び始める前にカットするのがおススメです。
ヒナなら羽が生えそろって成鳥と同じ飼い方を始めた頃ですね。
④運動不足になる
鳥は飛ぶことでエネルギーを消費しているので、飛ぶ距離が少なくなれば、当然運動不足になります。
肥満は万病のもと。
もし広くて安全な部屋が用意できるなら、クリッピングせず、そこを自由に飛び回らせてあげられれば理想ですよね。
ざっと浮かぶのはこんな感じです。大きなメリットはあるものの、デメリットもそれなりにあります。
でも、逃がしたりケガさせることに比べればなんでもないね!クリッピングは虐待じゃないんだね!
そう。虐待なんかではないんです。
鳥を飼うのは人のエゴかもしれませんが、一度飼うと決めたなら、そのコを安全に飼う義務もあるのです。
例えば家族が多い、来客が多い、など鳥を逃がす状況ができやすい飼育環境であれば、カットしたほうがいい場合があります。
だいぶ不安もなくなってきたと思うので、次はクリッピングのやり方をみていきましょう。
クリッピングのやり方
では、次に羽の切り方も一応説明をさせていただきますね。
用意するものは普通のハサミでかまいません。
サッと切ってしまったほうが切り口も乱れないし、早く終わるのでよく切れるものを使いましょう。
まず、鳥の羽というのは広げるとこのような形をしていますね↓
一番下の長い羽が風切羽、真ん中の列あたりの小さな羽は雨覆です。
細かく分ければ、羽の場所によって名前があります。
カットできるのは、色の付いている部分、すなわち風切羽のみです。
ここは神経も血管も通っていません。
どのくらいカットすれば良いのか?
カットする量ですが、オレンジ色の付いている部分、風切羽であれば切る量はどのくらいでも良いです。
↑最初は上の図のように風切り羽の最も外側の一番長い所を3~5枚カットすることが多いです。
オレンジの部分が残した部分です。
風切羽は長い部分ほど飛ぶ時の力になりますので、一番外側のたった3枚ほどカットするだけで飛ぶ距離、高さが激減します。
この切り方は最も簡単で、短い枚数カットするだけで済みますが、その代わり一番綺麗な部分を無くすので、羽を閉じた時の見た目は少々恰好悪くなります。
上の切り方とは逆で、一番長い羽だけ残してそれ以外の風切羽をカットするやり方です。
オレンジ色の部分が残した部分です。
この切り方は一番綺麗な部分が残るので、羽を閉じた時に違和感が少ないです。その代わり切る量が多いので少し難しいのと、ケージにひっかかりやすくなるというデメリットがあります。
クリッピングしても油断大敵!
さて、今から大事なことを言いますよ。
実はクリッピングしたからといって安心してはいけません。
鳥の羽というのは1年に1回生え替わります。
換羽(とや)といいます。
体にツンツンしたトゲのようなものが出てきたら生え替わりの始まりです。
トゲは新しい羽が入っているサヤのようなものです。
このサヤが取れると、綺麗な羽が出てくるのですが、急に風切羽が新しくなるので、一気に飛べるようになります。
確かカットしてあったのに・・・と羽を見ると全て元通りになっていた、というパターンが多いです。
換羽が始まったな、と思ったら十分注意しましょう。
クリッピングはあくまでも、保険のようなもの、絶対に油断して肩にのせて歩いたり、窓を開けたりしないようにしてくださいね。
(おまけ)ペットショップでのクリッピングについて
これはよくTwitterやYahoo!知恵袋などで出る話題なのですが、クリッピング反対派の意見でこういったものがあります。
ペットショップで鳥を飼ったらクリッピングされてた。最悪!かわいそう!
少し大きい中ヒナを購入すると、クリッピングをした状態であることが多いんですよね。
それでそのペットショップは悪だと。
気持ちは分からなくもないのですが、実はペットショップでクリッピングをするのには重要な意味がちゃんとあるのです。
気になる方はこちらからどうぞ↓
そもそもクリッピングは手間ですし、鳥の見た目も悪くなります。
わざわざ必要もなくやる意味などないのです。
あまりペットショップを頭ごなしに責めないようにしてあげてくださいね。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、鳥を愛する方が一度は「ええっ?!羽を切る?!!」と驚くであろう、クリッピングについてお話させていただきました。
鳥は飛ぶもので、もちろん自由に飛び回るのが一番良いのですが、絶対に安全な広い空間を用意できるおうちは少ないでしょう・・・
飼育している以上はきちんとその命を守ってやらなくてはなりません。
自分で完全に安全な環境をつくる自信がないならば、クリッピングもひとつの手段です。
私はクリッピング反対派の飼い主さんが鳥を逃がしてしまい、その後はお迎えした鳥はクリッピングするようになった、というパターンもたくさん見てきました。
とにかく外に逃がしたら終わりです。
クリッピングは悪ととらえられがちですが、飼い主さんが自分自身で判断しましょうね。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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