こんにちは、セネきちです!
今回は「クリッピング」について、ちょっと踏み込んだ話になります。
みなさんは「クリッピング」ってご存知ですか?
クリッピングとは、手乗りの鳥(人によく慣れている鳥)の羽をカットすることです。
もし知らない方がいましたら、こちらの記事を読んでみてくださいね。
で、このクリッピングですが・・・
定期的にsnsなどで悪い意見を見かけます。
それは、「ペットショップでインコを飼ったら、羽がカットされていた」という内容。
「かわいそう、ひどい、自由を失っている、ショップ店員が楽をしている」など、毎回結構ペットショップ側が叩かれますし、擁護する人はほとんどいません。
でも、今回この記事に辿り着いた方にぜひ知っていただきたいのは。
ペットショップで羽をカットしてあるのには、「ペットショップのため、鳥のため、お客さんのため」に重要な理由がいくつもあるのだということです。
この記事を最後まで読んでいただくと、クリッピングとは、単にショップ店員が楽をするためにカットしているのではない、ということが分かっていただけると思います。
※鳥が飛んで逃げてしまうことを、「ロスト」と呼びますので、この先は鳥の脱走をロスト、と表記させていただきます。
クリッピングしなければならない理由
鳥を愛する人ほど鳥の羽をカットすることに抵抗があるのはよく分かります。
私も最初にクリッピングするところを見せてもらった時、非常にショックを受けました。
しかしショップで働くうちに、クリッピングとは決して残酷なことではなく、むしろペットショップで飼い主を待つ鳥たちを守るために必要不可欠なものだと理解していきました。
こちらでは、ペットショップでのクリッピングが必要な理由を3つ挙げさせていただきました。
また、実際ペットショップでロストした場合、どうなるの?という点についても別の記事で解説させていただいているので、良かったら見てみてくださいね。
①ショップではロスト防止管理が難しいため
まず一つ目の理由です。
ペットショップでは、たとえ鳥の展示場所がガラス扉で閉鎖できるようになっていたとしても、ロスト防止管理が不十分であるという点です。
自宅ペットとして飼われている手乗りの鳥の場合、飼い主さんが全ての責任をもって鳥の安全を管理できますよね。
逃げないように、放鳥時間を決めたり、家中の扉を締めたり、鳥の扱いができない人には触らせないようにしたり。
しかし自宅ならばできるような対策が、ペットショップではほとんど意味を成しません。
その理由もお話しますのでぜひ見ていってくださいね。
不特定多数の人が出入りする
ペットショップはいろんな人が来ます。
老若男女、長期休暇中は人数も相当なものです。
私が働いていたペットショップは、鳥は小部屋のようになっているところにケージを並べてありましたが、お客さんが多くなってくると扉をいちいち閉めてくれる人は少なく、ほぼ開けっ放しでした。
また、平日のお客さんが少ない時間帯であっても、たまたま店員の手から飛んでしまった鳥が、お客さんが入ってきた一瞬をついて扉の隙間から飛んでいったことがあります。
家庭でも、ロストの状況として多いのが、家族が帰宅するタイミング、窓を開けるタイミングで横をすり抜けて飛んでいってしまう、というパターン。
ペットショップでは家族どころか不特定多数の人が出入りしますから、ロストする確率は家庭よりずっと上がります。
勝手にケージから出す人がいる
残念なことですが…
店員に一切声をかけずに勝手にケージを開けて鳥と触れ合うお客さんが結構います。
なんのつもりなのか全く分かりませんが、注意しても全く悪びれる様子のない方がほとんどです。
「出たがっていたから」「触って選びたかったから」などの理由で勝手に開けてしまうのです。
そんな時、クリッピングをしていない成鳥だったら…?
よほど人間にベタ慣れでない限り、飛んでしまいます。
もちろんそのようなケースは山ほどあったので、鍵をかけたこともあるんですが、恐ろしいことにそれでもケージの上蓋を外してまで中の鳥を出す人もいるのです。
ケージの全ての結合部分に鍵をかけるなんて、とても無理ですから、そういうお客さんを見かけたらその都度注意することしかできなかったですね。
ちなみに、ショップ内でロストしてしまったらどんなことがまずいの??という点についてこちら↓でまとめています。興味のある方はどうぞ!
②お客さんに手にのせて選んでもらうため
二つ目の理由は、まぁこれは当たり前といえば当たり前なのですが、鳥を購入するお客さんに、一度手に取ってふれあってもらってから選んでもらうためです。
羽の生えそろっていないヒナならば、そのまま手にのせれば良いのですが、中ビナ~成鳥になるとそうはいきません。
店員に慣れている鳥でも、初めての人を見ればだいたい警戒してちょっと飛ぼうとしてしまうものですし、あまり慣れていないなら即飛んでいくでしょう。
羽を全くカットしていなければ、通常の飛翔力がありますから、手に取ってみてもらうどころではありませんよね。
かといって鳥の体をがっちり保定して見せるのも、納得できるお客さんはほとんどいないでしょう。
羽をカットすることで、より安全に、近くで鳥を見て選んでもらうことができるのです。
③初めて鳥を飼うお客さんが逃がしてしまわないようにするため
これが「ペットショップでクリッピングをする理由」の最後となります。
それは、「初めて鳥を飼うお客さんのために切る」というものです。
通常、ヒナからお迎えする場合は、羽が生え、飛ぶ練習を始めるところ、徐々に飛べるようになるところも飼い主さんが見ることができます。
鳥も飼い主さんに慣れていくので、基本的に手や肩にとまります。
そうすると、いきなり飛び回ることはほとんど無いし、飛ぶ練習を始める段階で、飼い主さんも「これ、結構飛んじゃうな・・・」と感覚でだんだん分かるようになります。
自然に、自宅で鳥のロスト(外への脱走)を防ぐ対策を進めることもできるでしょう。
一方、いきなり中ヒナや手乗りの成鳥から飼った場合、こういったトラブルが起きることがあります。
手乗りの鳥と遊ぼうと、購入したその日に部屋の安全を確認しないまま、ケージから出す
↓
初めての場所!知らない人!と鳥がびっくりして、部屋を飛び回ってしまう
↓
そのままロストする、家電の裏などに落ちる、もしくは飼い主さんが、鳥の捕まえ方が分からず、家族で追い回し、鳥に恐怖を与える
これは、実は結構多くて。
私自身も、お客さんから、購入翌日に逃がしたという話はよく聞きました。
こういった悲しいトラブルを防ぐために、あえてクリッピングして売る、ということです。
鳥の脱走「ロスト」はベテランの飼い主さんでも細心の注意を払ってもなお発生するくらい多いトラブルです。
初心者飼い主さんはその発生確率がとても高いのです。
カットされた羽が嫌ならば、放っておけば半年くらいで生えそろいます。
まずは絶対にロストしないように飼育をスタートすること、これが重要なのです。
ショップでのクリッピングが悪く言われる理由
さて、ここまででペットショップでクリッピングをする理由を3つ挙げましたが、当然納得いかない方もいらっしゃると思います。
でも、なぜこんなにペットショップでのクリッピングが悪く言われるのでしょうか。
そもそも羽をカットすれば、美しいシルエットがなくなり、鳥の「商品」としての価値が下がりますから、ペットショップ側にはマイナスですよね。
それなのに、購入した鳥の羽が切られていた!かわいそう!ショップひどい!となってしまうわけです。
これは、個人的に、ペットショップの店員の説明不足にあるのではと思います。
私だって最初はショックでしたし、有り得ない!と思いました。
きっと鳥をお迎えしに来た人はみんな衝撃を受けて当たり前なんですよね。
本当は、クリッピングされている鳥を販売するときに店員側から、ちゃんとお客さんに説明するべきなんです。
一言説明があれば、悪く言われないですし、もしそこでお客さんが難色を示せば、購入を控えてもらうことだってできます。
面倒でも羽をカットしている、重要な理由を説明すること。
これが大事なんですよね。
クリッピングされていない鳥をお迎えするには?
私はクリッピング済の鳥を販売する時には必ず説明していたのですが、説明して理解してもらえないお客さんには当たった事がなかったです。
しかし、もちろん納得できない人だっています。
では、クリッピングされていない鳥が欲しい場合はどうすればいいのか?を最後にお話しておきますね。
答えは簡単です。
カットされていない鳥を販売している所で購入するか、羽が生えそろっていないヒナを購入することです。
手乗りの中ヒナ~成鳥で羽のカットをしていないペットショップは、一部の鳥専門店や、個人のブリーダー、もしくはショップのみで独立している所ならあるかもしれません。
来店前に電話で聞いてみましょう。
ただ、先ほどお話したとおり、初めて鳥を飼う方は、本当に注意してお迎えするようにしてくださいね。
また、ヒナでのお迎えに関しては、2週間ほど、日中の面倒をみることができれば、よほど特殊な種類のヒナ出ない限り、初めての人でも育て上げることはできると思います。
最終的にクリッピングをどう感じるかどうかは、あなた次第、ロストしなければ、それでいいのです。
まとめ
今回は、ペットショップがクリッピングをして鳥を販売する理由を説明させていただきました。
ペットショップ側の理由としては、不特定多数の人が出入りする店舗では、脱走防止対策をたてにくい、かつ万が一脱走した時の責任の重さや捕獲の難しさがあるということ。
お客さんのための理由としては、中ビナなど、微妙に飛び始めた個体を販売する時に念のためカットしたほうが安全であるということ。です!
こちら最後に関連記事をのせておきますので、詳しく知りたい方は参考にしてくださいね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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