こんにちは、セネきちです。
今回は「画像でみるペットショップ劣悪診断」です!
突然ですが、こちらの画像をご覧ください。
とあるペットショップの、ハムスターのケージの中を撮ったものですね。
みなさんはこの画像を見て、ペットショップは劣悪な管理をしていると思いますか?それとも適切な環境をハムスターに提供できていると思いますか?
実はこの画像は、以前私宛てに送られてきたメールに添付されていたものです。
個人的にこのメールのやりとりは、ペットショップ店員にとってとても学び深いものになるな、と感じたので、もしここを読んでいる方にショップ店員の方がいらっしゃったら、ぜひ最後まで読んでいってほしいなと思います。
メールの内容
以下、送られてきたメールの内容です。
突然のDMを失礼致します。
本日あるペットショップに立ち寄ったのですが、展示状況が今まで私が見た中で一番良くないと感じました。
ハムスターケージの中に給水ボトルがあるものとないものがあり、ないものには水分補給ゼリーのようなものが置いてありました。
また全て回し車は入っていない状況です。
お聞きしたいことというのは、ハムスター販売の観点からこういった展示はどうなのかということです。
こと水分補給や運動はハムスターの生命にも関わることなので心配だなという感想を抱いてしました。
長文で本当に申し訳ありません。
もしよろしければセネきちさんのご意見を聞けたらと思います。
失礼いたしました。
以上です。
これは正直とても答えづらかったです。
この方は、私にも賛同を求めていたのではないか、と思ったからです。
もちろん、賛同する人はたくさんいるでしょう。
ペットショップなんて基本動物の自由を奪っているところであり、どうしても管理は自宅の飼育とは大きく異なるものですから。
でも、ここは元ペットショップ店員としての意見を言わせていただきますと…
結論から言うとこのショップは劣悪な環境で管理していません。
でも、飼育法として正しいのか?というとそういうわけではありません。
私は今から解説する内容を、できるだけ分かりやすくまとめて返信したのですが、このメールをくださった方がとても素直な方で、「自分はただのいち飼育者なので、ショップ側の意見が聞けて良かったです」と丁寧に返してくださったので助かりました。 …
劣悪な環境だ!と熱くなってしまっている人だと、逆上されかねないですから・・・
で、肝心の内容です。
「画像のような状態が劣悪な環境ではない」と私が思う理由をお話しますね。
元ペットショップ店員としての見解
メールを参照しながら解説していきます。
※あくまでもハムスターがごく若いうちに1~2週間で売れて行くという設定でお願いします。
ドリンクボトルがついていないことについて
ハムスターケージの中に給水ボトルがあるものとないものがあり、ないものには水分補給ゼリーのようなものが置いてありました。
まず、ハムスターって、自宅ではこのようなハムスターケージで飼育することが多いですよね。
でも実はペットショップでは、展示は水槽が一番見やすく、管理がしやすいです。
場所も効率よく使えますし、掃除がしやすいですね。
ほとんどのペットショップで水槽を使っているのはそのためです。
しかし、水槽タイプのケージの難点として、ドリンクボトルが付けづらい、というものがあります。
吸盤タイプのものは落ちやすいですし、ワイヤー固定は上手に付けないと、ハムスターがボトルをつたって脱走することがあり、非常に扱いづらいのです。
また、入荷してくるハムスターはベビー。
うまくドリンクボトルから飲めず、脱水で死ぬことがあります。
ドリンクボトルを付けるメリットがあまり無いんですよね。
さて、画像を見てみると、ドリンクボトルにプラスでゼリー、そして野菜も少し見えます。
ゼリーは毎日使うには単価が高いので、普通はコストを気にしてあまり使いたがらないものだと思います。
(私が働いていたショップではゼリーを使う許可はなかなか出ませんでした)
そんなゼリーにプラスで野菜まで置いているのですから、結構ハムスターのことを考えていると思います。
どちらも嗜好性が高いので、入荷直後のベビーでもよく食べると思います。
ちなみに私が働いていたショップでは、毎日野菜を与えて水分の代わりにしていました。
理由は、ベビーに少しでも水分を摂りやすくさせるためでした。
ハムスターがあまり売れないようなショップならさすがにドリンクボトルを付けるべきだとは思いますが、入荷して数日で売れるような回転の早いショップなら、代替品でも良いのではと思います。
たぶんドリンクボトルが付いているケージもあるということで、ショップの人も本来はドリンクボトルを使うものだというのは理解していると思います。
回し車が入っていないことについて
全て回し車が入っていない状況です
先ほどのドリンクボトルの話と被りますが、水槽タイプのケージではそもそも回し車が設置しづらいです。
また、ドリンクボトルと同じく、上に登ってしまい、脱走されることがあります(実体験)
もちろん設置すればハムスターは使うと思いますが、一時的な仮宿であれば、無くても構わないと思います。
その他の見解
メールの送信主さんは回し車とドリンクボトルの件だけ気にされていましたが、その他感じたことも追加でお話しておきますね。
ハウスが置いていないことについて
このメールをくださった方は気にしていなかったのですが、時々snsなどで「ペットショップのケージにはハウスが入っていなくてかわいそうだった」という意見をみることがあるので、そこらへんについてもお話しておきます。
ハムスターはハウスを置けば確かに入りますがなければ自分で巣のようなものを作って隠れることはいくらでもできます。
この画像をみると、床材の量はじゅうぶんですし、巣をつくりたかったら自分でつくれるけど、どのハムスターもあまり気にしていない様子。
ハウスは無くても大丈夫だと思います。
あと、これはショップ店員でないと分からない事情なのですが、ハウスを置いていると、中にハムスターが何匹も入ってしまい、お客さんから全く見えなくなってしまうのです。
本当に欲しい人はそれでも店員を呼ぶでしょうけど、そこまででもないけど、ちょっと見たい、というお客さんにとっては結構残念なようです。
中には、それでも見たいがために、勝手にケージを開けてハウスを持ち上げてしまう人がいました。
ハウスは自宅で飼育する時に、広さに余裕があれば置けばよいかな、と思います。
床材について
このショップが使っている床材は、業務用として最も安く売られているものではなく、やや高めの価格帯のアレルギー性の少ない広葉樹林のチップかな?と思います。
針葉樹のチップは安くて見た目がキレイですが、アレルギー性が高めです。
少なくともこのショップは床材をケチってはいないということが分かりますね。
掃除した直後かもしれないとはいえ、中もキレイです。
餌について
ここ大事なところですが、画像をよく見ると、餌入れにはペレットが入っています。
これだけで、ある程度の知識があることが分かりますね。
知識のないショップだと、だいたいヒマワリの種かミックスフードが入っています。
ハムスターもそっちのほうがよく食べるので、楽なんですよね。
また、餌入れも見てみると…私は個人的に、このショップはかなり良い管理をしているほうだと思いました。
それは、ケージがどれもキレイであることに加え、餌入れまでキレイだからです。
劣悪なショップは、だいたい餌入れを洗いません。
ハムスターの餌って乾燥しているので、餌入れがあまり汚れないんですよね。
だからついついそのまま餌を足しがちなんですが、実は少しずつ汚れはついていくもの。
餌入れがキレイ、ということは毎日とはいわずとも、意識して掃除しているのだと思います。
あえて言うなら…
検証の結果、個人的には管理がちゃんとされているショップである、という結果にはなったのですが、あえていうならここが気になるぞ、というポイントも挙げておきます。
ハムスターが大きめであること
ハムスターが・・・
結構大きいんですよね・・・(笑)
サイズもそうですし、オスの睾丸が大きいので成熟している。。
正直、よく共食いしないな?と思います。
※ジャンガリアンハムスターは複数飼育すると結構な確率で共食いをします。
ハムスター自体はとても綺麗ですし、管理もできていると思うのですが、もう少し販売に意欲的にならないと、「劣悪ではないまでも、窮屈でややストレスのたまる環境」でずっとハムスターを飼育する状態になってしまうのでは、という感想はもちました。
あと、画像では隠したのですが、ハムスターの名前が大雑把でした。
ジャンガリアンハムスターとキャンベルハムスターが見えるのですが、全て「長毛ハムスター」となっていました。
ちょっと気になっただけなんですけどね。
まとめ
今回は、私宛てに届いた一通のメールをもとに、ペットショップの管理について検証してみました。
一般のお客さんと、私たちショップ関係者では、「劣悪な環境」の判断基準が大きく違っていることがよく分かります。
こういうところの意識の違いのすり合わせをしていけば、「ペットショップは悪!」と叩く人は減るのではないかと思うんですよね。
このメールをくださった方には感謝したいと思います。
とても学びになりました。
今回はここまでです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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