ウサギ好きのみなさん、こんにちは!
今日はウサギを飼育している人、ではなく「ウサギを販売する」立場の方に向けたお話をしようと思います。
ペットとしてウサギがだいぶ普及していますが、まだまだ販売する側もウサギに対する理解が足りていないな、と感じることも多いです。い。
ぜひこちらを見ていただいて、ウサギの販売に役立ててほしいと思います。
ウサギという動物
ウサギは昔から飼育されていて、小動物の中では最も認知度の高い動物といえます。小さなペットショップでも販売していることが多く、ショーラビットを扱う専門店もあります。
ただ、これだけ有名な動物ですが、間違った知識が多く広まっているのも実はウサギです。
まずは、ウサギを店頭でみつけた時の反応をみてみましょう。
ウサギに初めて出会う人の反応
ウサギを見たことがない、という人は稀ですが、ペットとして販売されているウサギを間近で見たことがある人は実は少ないです。犬や猫を見に来たついでに見た、とかなんとなくかわいいな~くらいで見にくる人が多いです。
そういった人は動物園や学校の飼育小屋で飼育されているウサギの印象が強いのか、ちょっと大きくなったウサギがケージに入っていると「狭い所に閉じ込められていてかわいそう」「さみしいと死んじゃうのに1匹でかわいそう」という声を聞くことがあります。
世間ではウサギとはさみしがりやで、か弱くて、なんだかかわいそうな存在みたいだね・・・
ウサギが好きで既に飼育している人の反応
次にウサギが好きで既に飼育している人の反応ですが、かわいいと感じるのはもちろんなのですが、正しい知識をもって飼育している人ほど、ペットショップのウサギの管理に目がいきがちです。
セネきちもペットショップに行くと可愛さよりも先にケージの中やウサギの状態を見てしまいます・・・
どんなに売れ残って大きなウサギでも、ケージがちょっと狭くても、清潔で水がきちんと入れてあり、綺麗なトイレを置いてもらって牧草入れも満タン!であれば店員さんのウサギに対する愛を感じるものです。
ウサギ好きの人達を悲しい気持ちにさせないように、清潔感だけは保っていきたいところですね。
ウサギを展示するまでの注意点
次に、ウサギを店頭に出すまでの流れと注意点をお話いたします。
ペットショップでは生後1か月くらいのウサギが入荷しますが、ベビーのウサギというのは、販売するまでに最も慎重に扱わなくてはならない小動物です。
入荷してきたすべてのウサギを元気な状態で販売できるように準備しましょう!
入荷したらすること
ウサギのベビーを迎える上で一番大事なのは、とにかくストレスを与えないことです。
ベビーが入荷する日までに、ケージを準備しておき、入荷後すぐに安心して休める場所をつくっておきましょう。できれば最初は人目に触れないバックヤードが良いのですが、場所がなければ店頭に場所をつくり、ケージの半分くらいかくれる程度に布か紙を貼るとウサギが落ち着きやすくなります。
健康の確認
ウサギのベビーが入荷したら、まずは健康の確認をしましょう。
・目やにが付いていたり下痢をしていないか?
・持ち上げた時にぐったりしていないか?
体や顔がきれいで、持ち上げた時に抵抗するくらい元気があればオッケーです。
すぐにケージに入れてあげましょう。
ちなみに餌や水もすぐにケージにセットしますが、ベビーのウサギは水がうまく飲めなくて脱水を起こす危険性があるので、すべてのウサギがドリンクボトルから水を飲んでいることが確認できるまでは、新鮮な野菜を少量与えると安心です。小松菜や青梗菜などのアクの無い青菜がおススメです。
ウサギの展示方法
ウサギのおススメの展示方法ですが、ペットショップでよく使われているアクリルの大きなケースよりも普通のウサギ用ケージを使用できると体調を崩しにくくなります。
下痢を起こしやすいベビーウサギ、入荷するたびに色々試行錯誤したことがあるのですが、結局は「通気性」が一番重要でした。
ウサギは湿気がこもるのに弱く、一羽でも下痢になると、アクリルで覆われたケージ内はあっという間に病気が広がります。もし万が一ウサギ用ケージが用意できなくてアクリルで覆われたケージに入れる場合は、毎日床材を交換し、不衛生にならないようにしましょう。
オス、メスを見分けておくと安心!
ベビーのウサギはオスメスの見分け方が難しいのですが、もし判別ができる人がいれば、最初に調べておいて、ウサギの特徴か個別の写真と共にケージに掲示しておくと良いです。
お客様は性別を知りたい人がほとんどですが、聞かれるたびにウサギを捕まえて調べていると大きなストレスになるためです。
もし判別ができない、もしくは自信が無い場合は展示する時点で「オス、メスの判別は行っておりません」と掲示しておきましょう。
ケージに掲示しておきたいこと
ベビーウサギを店頭に出したら、ケージにウサギの情報をできるだけ細かく掲示しましょう。
最低限必要なのは、生年月日、出生地、価格です。これらは販売時に必要な情報です。
次に、できれば掲示しておきたい情報として、性別、簡単な飼い方や注意点などが挙げられます。
掲示しておけばお客様も店員さんを探して聞く手間が省けますね!
ウサギは飼育の準備が少し大変なので、飼い方を掲示するか、自由に持って行ける飼い方の紙が用意できればなお良いでしょう。
また、ウサギは間違った言い伝えのようなものが広がっている動物です。
よくある質問やお迎え前の心がまえなどをまとめたものも見える所に掲示しておけると正しい飼い方の普及につながります!
ウサギの餌
ウサギの餌ですが、基本はチモシー牧草を食べ放題にして、ペレットタイプの餌も同時に与えます。
ただし、ペットショップにはかなり小さいベビーが入荷することがほとんどなので、最初のうちはアルファルファを追加で与えましょう。
ウサギを販売する時の注意点
ウサギを店頭に出し始めると、そのかわいい姿に興味を持つ人が出てきます。
ただ、入荷したばかりであれば、1週間は販売せずに様子をみましょう。ベビーのウサギは小動物の中では最も入荷後の死亡率が高く、下痢を起こしやすいです。
すべてのウサギが自分で餌や水分をとっていることを確認してからの販売が安心です。
それまでは『入荷直後のため販売を控えています』などのポップを貼っておきましょう。
販売時に確認すること①
お客様からウサギを欲しい、と言われたら販売に至るわけですが、ハイどうぞ、というわけにはいきません。受け渡す時点で健康であることを一緒に確認してもらいましょう。
・目やに、下痢はないか?
・持ち上げた時に軽く、やせすぎていないか?
ウサギは最低言このチェックを行いましょう。
ここで注意ポイント!初めて飼う人は、ウサギのベビーの中でも小さくて暴れないコを選びがちなんですが・・・
見た目がかわいくて大人しく見えるもんね!
実はそういうコはあまり状態がよくないんだよ。下痢をしていなくてもそういうコは販売を控えましょう。
他のコより小さい→餌をちゃんと食べることができていない可能性がある。
ふにゃふにゃして見える→脱水、衰弱状態である可能性がある。
暴れない、逃げない→怖さとストレスで硬直しているか、衰弱状態である可能性がある。
もしこういった特徴が分かりにくければ、体重を定期的にはかると分かるようになってきます。
そしてできれば初めての飼育の方には少し大きめのコをおススメすると安心です。大きく見えても実際は他のコと2週間ほどしか誕生日が違うだけ、ということもよくありますのできちんと説明すれば、安心サイズのコのほうをお迎えしてくれる方は多いですよ。
販売時に確認すること②
ウサギを選び、健康チェックをしたらいよいよ受け渡しになりますが、「良いペットショップ」であるためにはもう少しお客様に伝えておくことがあります。
伝えているのといないのとでは後々のトラブルの発生の確率が大きく変わってきます。
お迎え後1週間が超重要!
ウサギのお迎えは最初の1週間が勝負だといわれています。
この1週間をどう過ごすかで、死ぬか生きるか、慣れるか慣れないかが決まってくるくらい重要です!
まず絶対に守ってもらいたいのは最初の1週間は餌と水、最低限の掃除のみ、絶対に抱っこしたり撫でたりケージから放さないことです。
ウサギはただでさえ神経質な動物。ましてやベビーならば、初めての場所に慣れるので精いっぱい。いつ体調を崩してもおかしくないくらいの状況です。
そんな時に触ったりケージから放されると「人」自体が苦手になってしまうよね
自宅に小さな子供がいる場合は特に注意してもらいましょう。ケージを頻繁にのぞくのもよくありません。タオルなどをケージの半分が隠れるくらいまでかけておき、できるだけ余計なストレスを与えないようにしましょう。
ウサギの飼い方を知っているかどうかさりげなく聞く
お客様とやり取りをする中で、飼い方を知っているのかどうか怪しい面がみられたら、さりげなく聞いてみたほうがよいでしょう。
よく話を聞いてみれば、昔学校で飼っていたみたいに外で飼うつもりだった、とか家に既にいるウサギと一緒にケージに入れるつもりだった、というパターンはわりとよくあります。
ウサギは昔から飼育されているぶん間違った知識も浸透しています。今ペットショップにいるウサギは外で生活したことはないですし、一般家庭にはウサギ小屋もありません。昔の飼い方で飼おうとしている場合はウサギの命にも関わりますので注意しましょう。
ショップで与えていた餌を紹介する
ウサギは環境変化に弱く、お迎え直後はかなりのストレスを溜めています。そんな時餌まで違うものを与えると、食べなくなってしまうことがあります。
特にベビーは食べないでいるとすぐに体調を崩してしまいます。
ベテランウサギ飼いのお客様だと同じものを買っていってくれないこともありますが、必ず紹介だけはしておきましょう。
季節に応じて一言付け加える
特に真夏、真冬は必ずなのですが、夏はエアコンをつけ、冬はペットヒーターか同じくエアコンで室温管理をしっかりしてもらえるに伝えましょう。
ウサギを初めて飼育する場合、まさかエアコンやヒーターがいるなんて!と驚く方は未だに多いです。
ヒーターが要るか要らないかは、ウサギ次第。
飼育する人がベテランだから要らないとか、お迎えするコが大きめだから要らない、とかは関係ありません。
特にベビーのウサギは温度の変化にも弱いため、じゅうぶん注意してもらいましょう。
ウサギを販売した後に起こりやすいトラブル
ウサギを無事に販売し終わってホッとしたのもつかの間、販売後に色々とトラブルが起きやすいのもウサギの特徴です。あまりにも理不尽なクレームでない限り、販売後のアフターフォローまでちきんとやってこそのペットショップです。
ウサギで特に起こりやすいトラブルを紹介しますのでぜひ参考にしてくださいね。
ウサギが死んでしまった
ウサギの、特にベビーでお迎えした場合は、お迎え1週間以内に急に死んでしまう、ということは残念ですがよく聞かれることです。理由は様々ですが、
・水が飲めていなくて脱水だった
・ウサギ自身のストレス
・温度変化による急な体調の変化
などがあげられます。こういった悲しい死に方をしないために、販売時に色々と説明をするのですが、飼い主さんがどれだけ頑張ってストレスを無くしてやっても死んでしまうことがあるのが実情です。それだけウサギのベビーは難しいのです。
ウサギが死んでしまった 対応
ウサギが死んだという連絡をもらったら、まずはお客様の話をしっかり聞きましょう。
こういった連絡をしてくる方には目的があるものです。
・話をただ聞いて欲しい。
・何が悪かったのかを知りたい。
・返金か変わりのウサギで補償をしてほしい。
セネきちの経験では、半数の方はただ死んでしまった理由を知りたい、納得したいという方でしたが、残る半数は死んでしまった理由も知りたいけど補償もしてほしい、もしくはなんでもいいからとりあえず補償をしてほしい、というタイプでした。
ウサギ補償制度をつくる
個人的には、ウサギがお迎え後すぐに死んでしまった場合、お客様に責任が無いと認められた場合はなんかしらかの形で補償をしたほうがよいと思うのですが、それはペットショップ側で事前に決めておきましょう。
ただ、お客様に責任があるかどうかを見極めるのは難しいと思うので、「ウサギの補償」制度をつくるのが良いと思います。
いくらか(300円くらいでいいと思います)追加で払ってもらい、こちらの飼育の説明を全て聞き、必要な餌を揃えてもらった場合に限り、一定の期間内に死んでしまったウサギの補償をする、という簡単な制度です。
説明終了後、お客様には証明となる用紙を渡しておきましょう。
ただ、実はこの制度の目的は単に後のトラブルを解決しやすくするためではなく、細かく説明を聞くことで、「ウサギって簡単に飼えるものではないんだ」「ストレスだけで本当に死んでしまうことがあるんだ」ということを分かってもらうことにあります。
ウサギのお迎えはかなり慎重にしなければならない!と気が引き締まるね!
お迎え時に時間はかかりますが、後のトラブルをかなり減らすことができるので、おススメです。
ウサギが死んでしまったけど、遠慮して何も連絡ができず、よそのペットショップに行ってしまう人も多いのですが、この制度があれば、購入したペットショップに連絡をしやすくなります。
そしてもしこの補償にのってこないお客様の場合、ウサギが死んでしまって補償を求められても、自然にお断りすることができるようになります。
ウサギがトイレを覚えてくれない
これは飼育をはじめて1か月ほど経過して相談の問い合わせをしてくる場合が多いです。
ウサギはトイレを覚える、ということでトイレを用意したがあちこちでする、ウンチだけ覚えない、など。ウサギは排泄物が多く、臭いもきついので、トイレを覚えてくれない、となるとなかなかに大変です。
ウサギがトイレを覚えてくれない 対応
この場合、トイレの覚えさせ方のセオリーがあるので、それにしたがってもう一度やってみてもらいましょう。
①あちこちでしてしまっているのなら、まずはすべての飼育用品をよく洗って小動物用の消臭剤で消臭する。ワラマットなどは臭いが取れないので処分する。その際、おしっこのついたものがあれば少しとっておく。
②きれいになったケージの中にトイレを置き、トイレの中にとっておいたおしっこの臭い付きのものを入れる。
③ウサギをケージに入れる。
この流れが一般的なトイレの覚えさせ方です。ただし、部屋に放している時にはトイレでしないコもいますし、おしっこだけは覚えるけどウンチはポロポロ・・・というコもいます。もちろん何をやっても全く覚えないコも。
実はこういった悩み相談は、お迎え時に「ウサギは必ずトイレを覚える」といった言葉を使ってしまっていると起きやすいです。確かにかなりの確率でトイレを覚えるのですが、覚えないコもいますので、ウサギだけでなくトイレを覚えるといわれている動物全般、「必ずトイレを覚える」という説明をしないことが大切です。
生き物には全て個性があります。飼育方法に「絶対」「必ず」という言葉は使わないようにしましょう!
「絶対」「必ず」を使ってもいいのは与えてはいけない食べ物の説明や、やってはならないことの説明の時だけ!
まとめ
いかがでしたか?
ウサギはお迎え時がとても大切なのと、間違った飼育法が広まっているため、ペットショップの店員さんのお仕事は多いです。今回もアドバイスが長くなってしまいましたね・・・!
でも一人一人のお客様に丁寧に飼い方を説明し、世の中から間違ったウサギの知識を少しでも減らしていけたらいいなと思っています。
ちなみにこちら↓は「悪いペットショップ」についてのページです。こうならないように、ぜひ見てみてくださいね。
コメント